白木屋傳兵衛商店の「江戸箒」が全国のデパートで行われる物産展で引っ張りだこです。私も愛用していますが、しなやかな掃き心地にはウットリさせられます。ホウキモロコシを1本1本丁寧に編み上げてあるのですが、美しさにもウットリさせられます。座敷箒は8千円、手箒は5千円‥‥と値段だけ聞くと高いようにお思いでしょうが、これを手にした友人はみな「安い!」と言います。東京の京橋にあるこのお店は創業天保元年(1830年)、畳表の仲買から始まり、明治初年に箒の製造を始めて今日に至っているのだそうです。当主は7代目の中村悟さん。ホウキモロコシの稲穂の選別から始まって、中心作りから玉作りと続く作業はすべて熟練の職人さんによる手作業で、機械作業は零。作りが丁寧ですから5年くらいは型崩れしません(スゴイ!)。図35が、その白木屋傳兵衛の箒です。畳やフローリング(板敷き)なら、電気掃除機よりも格段に上手く、気持ちよく掃けます(みんながそう言います)。
箒とセットで使われるのが「塵取り」です。図36は有名な「お福塵取り」です。なんの変哲も無いブリキ製の塵取りですが、当時(明治時代)としては画期的な工業品で、れっきとした特許商品です。箒と塵取りのセットで掃除をしてみると、塵取り作業がとても苦痛です。現代の日本人は腰を屈める作業が苦手の体質になっているようです(まるで西洋人みたい!)。でも、腰を屈めないでも塵取りが上手くできる道具もありますから、塵取りのせいで箒を失格にしないでください。
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