「においは 消しすぎないほうが いい」

  某大手ゼネコンの技術本部長が私を訪ねてきました。 新しい技術の自慢をしにきたようです。 ビルの集中冷暖房設備に芳香剤の噴霧装置を組み込んだのだそうです。 コンピュータープログラムにしたがって複数の香りを、種類や強弱・間隔を変えて自動的に噴霧する‥‥‥というシロモノです。 これで冷暖房の風の吹き出し口からの悪臭も記にならなくなって、快適なオフィスになるのだそうです。 待っていただきたい!  吹き出し口からの悪臭はエアコンダクトの中で微生物が繁殖し、その代謝生成物時には微生物そのもの)が運ばれて来た証拠、つまり危険信号なのだから、それを芳香(化学合成の)で隠してしまっては困ります。「そんなことを自慢しないでダクトの中を衛生的にする技術を研究したらどうだ‥‥‥」とアドバイスしたら怒って帰ってしまいました。

オフィスは、たくましいオジサンたちの場所ですから問題無い(?)のかもしれませんが、子供の周囲から危険信号を隠してしまうのは危険です。例えば、消臭布団、例えば殺虫剤、例えば防虫剤‥‥‥。隠してしまうと「危険な状況に気が付かない」から危険であるばかりか、隠すために化学物質を大量に使うから、もっと危険です。臭いを完全に消そうとするよりは、ホドホド消して(ホドホド残して)上手に付き合う‥‥という考え方はどうでしょう。

誰でも直ぐに作れる非電化消臭器を考えてみました。 実際のトイレで使ってホドホドの効果を発揮しています。この非電化消臭器の構造は簡単です。長さ50cm・直径5〜6cmくらいの竹炭を5本用意します(1850円で買えます)。先ず、炭の節を突き破ります(忘れると効果が激減します)。竹炭の表面を荒目のサンドペーパーでこすります。直径6〜8mmくらいの孔を、竹炭1本あたり10個くらい開けます。5本の竹炭を釣り糸かタコ糸で、有り合わせの横棒に吊るします(間隔を2〜3cm空ける)。この横棒を天井から吊るすようにします。このままだと真っ黒で気味が悪いので、赤色か緑色のスプレーラッカーで少しだけお化粧します(たくさん吹きかけると消臭効果が無くなる)。以上で完成。日曜大工に慣れている方なら4時間くらいでできるでしょう。材料費は竹炭代の1850円だけ。壊さないようにすれば、半永久的に使えます。ただし、半年くらい毎に、2〜3時間陽光に曝してください。吸着した臭いの成分を放出して、消臭力が元に戻ります。揺すってやると、竹炭同士がぶつかって、絶妙な音がします(ぶつけ過ぎると割れる)。

トイレの中にも自然の緩やかな気流が存在します。この気流に乗ってくる臭いの成分を竹炭の持つ吸着力で吸着してやるわけですが、適当にやっても、竹炭表面に境界層が形成されてしまって効果を出せません。ここに書いた通りにやってみてください。ご自分で作って使うのは特許侵害ではありませんから、安心してください(作って売ると特許侵害になりますから許可を求めてください)。

化粧の仕方次第ではありますが、この非電化消臭器は素敵なオブジェになって、トイレの雰囲気がおしゃれになります。QOL(クォリティー・オブ・ライフ)というのは、「生活の質」とでも訳したらいいのでしょうか、ヨーロッパで15年前くらいに生まれた言葉です。快適・便利だけではなくて、環境や健康や心の豊かさまでを含めた、本当の意味で質の高い生活を自ら実現しよう‥‥という考え方です。非電化消臭器を自分で作って、おしゃれにデザインしてみる‥‥なんていうのも、粋なQOLかもしれませんね。

『愉しい非電化』より抜粋

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