オール電化住宅と太陽電池とがセットで販売されるケースが目立ちます。
「太陽電池を使うのだから、火力発電所や原発の増設には繋がらない」と思い込んでいる方も目立ちますが、誤解です。
太陽電池は、製造過程で最も電力を消費する工業製品の一つです。
EPT(Energy Payback Time)というのは、製造過程で消費されるエネルギーを、自らが生み出したエネルギーの何年分で取り戻せるかという意味ですが、太陽電池のEPTは、太陽電池に注がれた太陽光がフルに電気に変換され、変換された電力がフルに使われたと仮定しても、約5年(3年と言うメーカーや10年と言う学者もいます)です。
つまり、初めの5年は、太陽電池の設置により、発電所の電力需要はかえって増えます。 太陽電池の効果がでてくるのは理想的な場合でも6年目以降です。
ですから、電力需要を増やし、それを太陽電池で賄おうとすると、一時的には電力需要が増え、火力発電所や原発の余分な増設を招きます。 いったん電力供給能力を増やしてしまってから、後で電力需要を減らすのが困難なことは、歴史が示すとおりです。
次の表は、太陽電池を年毎に増設していった場合の、差し引きの電力供給量(太陽電池の発電量から太陽電池製造時の電力消費量を差し引いた値)の推移を計算した結果の一例です。
1年目は1GP分の太陽電池(発電能力5百万KW)を製造・設置、以後毎年増量して10年目には5GP分を製造・設置したとします。
差し引きの供給電力は7年目まで赤字(つまり、太陽電池による供給電力よりも太陽電池製造用電力が上回る)が続き、黒字に転じるのは10年目からです。
赤字分を補うために、火力発電所や原発の増設が必要です。
|