ソーラークッカー

太陽の光を集めて 目玉焼きを 作った

フライパンの なかに 太陽が できた

ナイジェリアの子どもたちのために作った水の殺菌装置
     

 ナイジェリアでは毎年20万人もの子供たちが水が理由で命を落としているそうです。原 のほとんどは水中の細菌です。日本のような殺菌された水を供給する水道設備が整っているのは都市部だけで、貧しい子供たちは水溜りの水を飲んでしまいます。ペットボトルの水を買うお金はもちろんありません。赤道直下に近い気温の高い国ですから細菌の繁殖には好条件です。原 は単純ですが問題は深刻です。


非電化工房製の2次元パラボラ型(水平設置タイプ)
     

 ナイジェリアの子供たちのために作って上げたのが写真の飲料水殺菌装置です。放物型に湾曲した発泡スチロールの湾曲面に太陽光をよく反射するアルミ板が張られています。

 中央のスペーサーの上に水を入れた500ミリリットルのペットボトルを寝かせます。ペットボトルの縦の方向が太陽の方に向くようにして地面に置きます。太陽光はアルミで反射されてペットボトルに集まります。スペーサーの上面に張られた液晶のシールの色が変わったら殺菌完了(70℃以上)。ナイジェリアの太陽の強さでしたら20分程度で完了します。1日の一家の収入が1ドル以下という貧しい子ども達が命を落とすわけですから、普通のソーラークッカー(1台3万円以上)では手も足も出ません。ましてやハイテックの浄水設備などは夢物語です。図のソーラークッカーは材料費300円程度で現地で手作りできるところがミソです。
 
 細菌で汚染された水を飲んで病気になることを水
性疾患と呼びますが、この水 性疾患で命を落とす子供の数は全世界では年に250万人に及ぶと言われています。国アフリカや南米、東南アジアなどの暑い国に集中しています。暑いので細菌が繁殖しやすいことに加えて、貧しいために衛生設備が整っていないことが、これらの国に集中している理由です。ハイテックで対処しようとするのが今日的なやり方のようですが、お金が掛かりすぎるために普及させることができません。これらの暑い国は太陽光も強いのですから、お金を掛けずに上手に太陽熱を使うことがもっと考えられてもよさそうです。

 

モンゴル遊牧民へのプレゼント


 次はモンゴルの遊牧民のために作ってあげた羊乳殺菌装置の話です。遊牧民は一家で羊を
1001000頭も飼育します。羊の乳を飲食に最大限利用しますが大量に余ります。余った乳を都会に持ってゆけば貴重な現金収入になるのですが、輸送の途中で腐ってしまいます。電気はきていません。お金も少ししか持ち合わせません。電気も使わずお金も掛けずになんとかならないか?‥‥という要求に応えて作ったのが図??の殺菌装置です。やはりソーラークッカーの応用です。
 ナイジェリアの子ども達のための装置は水平に寝かせて設置しますが、モンゴルでは垂直に立てて設置します。モンゴルは北に位置するために太陽の位置が低いからです。北に位置していても空が澄んでいるので強い陽射しが終日注ぎます。陽光が放物面に反射して一直線上に集まりますが、この位置に羊乳を入れた金属ボトルを立てます。金属ボトルの陽が当たる部分は陽光を吸収しやすい塗料を塗布してあります。試してみた結果。1リットルの羊乳を20分で殺菌することができ、遊牧民のみなさんが興奮して喜んでくれました。殺菌直後に栓をしてしまえば輸送中に腐る心配はありません。この場合のミソも、遊牧民が購入可能な価格のものをモンゴルで製造できるように考えた処でした。


非電化工房製の2次元パラボラ型(垂直設置タイプ)

     
   
ソーラークッカーで作ったカレーはうまい!
      

 右の写真は最も代表的な(3次元)パラボラ型のソーラークッカーです。直径1mですから、受光面積は約0.8u。受け取る太陽光エネルギーは約0.8KW。3次元パラボラだから、太陽光は焦点の1点に集光します。放熱が無ければ20℃の水1リットルを7分で沸騰させられる理屈ですが、実際には水の温度が高くなるにつれて放熱も大きくなりますから3050分かかります。
 こういうソーラークッカーが
1台あると、水を沸かすだけではなく、煮炊きや目玉焼きなど、いろんな調理を楽しめます。電気・ガス完備の日本で、電気・ガスの替わりに‥‥などと考えたらイライラして発狂してしまうかもしれませんが、アウトドアのレジャーや、たまの休日に子ども達と愉しみながら‥‥という使い方をすると喜ばれます。ソーラークッカーで作ったカレーやコーヒーは(理論的には同じ味のはずですが)何故かガスや電気で調理したものよりも美味しく感じられます。

工房あまねのソーラークッカー

   
           
ソーラーオーブンの意外な威力
       

 右の写真は、ソーラークッカーの一種で、ソーラーオーブンと呼ばれるものです。箱の上面は2重のガラス板で覆われています。箱の周りには反射板が設置されています。反射板とガラス板の角度は60度くらいにセットされます。太陽光がガラス板に直角に入射するようにソーラーオーブンを設置し、箱の中に調理する食材を入れます。
 ガラス板から直接入射する陽光と反射板で反射された陽光とが箱の中に入射します。箱の中は黒く塗られているので反射は起こらず、陽光は中に閉じ込められます。中が熱くなると輻射や対流熱伝達が生じて熱が逃げるのですが、入ってくるエネルギーの方が逃げるエネルギーより大きいために、箱の中の温度は上昇します。


非電化工房製のソーラーオーブン

 写真のソーラーオーブンの場合、ガラス板の大きさは50cm四方、面積は0.25uしかありませんが、反射板をも含めた入射面積は1.75u――(詳しい説明は省略しますが)入射エネルギーは輻射エネルギーの数倍になりますから、箱の中の温度は10分以内に100℃以上になります。エネルギーの大きさは、ロスを考えても1KW以上になりますから、たいていの料理はできてしまいます。日曜大工が得意な方なら数時間でできてしまうほどの簡単な構造の割には強力です。アメリカでは大変にポピュラーで、軽トラックの荷台一杯の大きさのものを見かけることもあります。さすがはアメリカ人、大きいものが大好きです。日本でも太陽光の強さは同じですから、一度試してみてください。

ソーラークッカーのサイト
  
工房あまね:日本の第一人者滝沢さんのサイトです。パラボラ型の本格製品を通販で購入できます。
  
世界のソーラークッカー:滝沢さんが世界のソーラークッカーを紹介したページです。
  
世界のソーラークッカーメーカー:国際ソーラークッキング協会が紹介したページです。
  
日本ソーラークッキング協会 : 主婦の鳥居さんや、工房あまねの滝沢さんが運営している協会です。

    
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