天日で野菜や果物や魚を乾燥する。日本人なら誰でも知っていることです。誰でも知っているから誰でもやるかというと、誰もやらない。面倒くさいからです。
天日で乾燥しようとすると1週間くらいはかかります。日が照ると外に出して、日が沈むと家に入れる。下手をすると途中でカビたりします。ダシタリイレタリは、昔の日本人には面倒臭くなかったようです。生活のリズムの中に組み込まれていたからでしょう。今の日本人には面倒くさい。そんな面倒なことをしなくても、イツデモドコデモ生鮮食品や冷凍食品が買える。他にやることがタクサンある。だから誰もやらなくなった・・・ということのようです。
でもドライフードは捨てがたい。そこでスーパーからドライフードを買ってくる。ほとんどが中国製で、ほとんどが合成添加物入り。そして、ほとんどが美味しくない。例えばドライりんご。ドライにすると自然に甘みが増すから砂糖を添加する必要はないはずなのに、砂糖だらけです。合成保存料や着色料の味を隠すために過剰に甘くしているとしか思えません。つまり不味い。なんだかヘンですね。
そこで、S.F.D.(ソーラー・フード・ドライヤのこと)を作ってみました。太陽の光を上手に採り入れて食品に熱を加えます。リフレクター(反射板)を加えるのがミソです。自然対流の原理を使って温風が流れ、水蒸気を外に逃すようにもします。水蒸気は逃がすけど熱は逃がさないのが、もう一つのミソです。このS.F.D.を使うと、日照時間中にドライフ―ドが出来上がります。ダシタリイレタリは必要ない。カビの心配も無い。虫がたかることもありません。
S.F.D.を作るワークショップを開いてみました。沖縄に住む女性は3日かけて参加してくださいました。北海道の男性も参加しました。東京の女性だって参加しました。午前10時にスタートして、夕方には出来上がり。出来上がったS.F.D.をみんな興奮して持ち帰りました。参加者同士も仲良くなったようです。
ドライフードにすると美味しくなったり、長持ちしたりするだけではありません。例えば人参を油で揚げる。生の人参だと30秒かかるとすると、ドライフードなら4〜5秒で揚がります。油っこくなくて、シャキシャキしていて、格段に美味しい。健康にも良さそうです。
例えばドライトマト。パスタやケーキに使ってみる。独特の甘みと酸味が加わって、美味しさに驚くはずです。ほとんど魔法の世界です。
例えば薬草。ヨモギ、ドクダミ、松の葉、ヒマワリの種・・・・S.F.D.でドライにしてガラス瓶に保存しておけば、いつでも美味しい薬草茶を愉しめます。
他にも驚くことがあります。たかがドライフードつくりが加わるだけで、自然の恵みで生きるという感性・・・一番大切かもしれない感性が培われているような気がするから不思議です。都会生活では、自然の恵みで生きる感性は鈍くなりがちですが、S.F.D.なら都会のマンションのベランダでも可能です。ワークショップを開いて、みんなで一緒に作るのも愉しそうです。一緒に作ると仲良くなる。つまり仲間になる。同じS.F.D.を持っている仲間同士は、いろんな経験を共有し合うことになります。「柿は厚さ5ミリで干すのがいいよ」とか、「大根と人参の細切りを干して、味醂と薄口醤油で一緒に煮ると絶品」などなど。温もりのある人間関係が育ちそうですね。
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