しろい 灯かりは おこりっぽく なる
あおい 灯かりは いじわるに なる
橙色の 灯かりは しんせつに なる
非電化照明
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■光ファイバーを使った「ひまわり」
■光ダクト
■反射板 |
■光ダクト+反射板
■夜光看板
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■光ファイバーを使った「ひまわり」
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昼間の太陽光の明るさは半端ではありません。直射光を受けた場合の明るさは2万ルクスに及びます。5百ルクスもあれば不自由なく本を読めますが、太陽光の明るさはその40倍。つまり、明るさということだけなら、太陽光は余分に明るい。余分に明るいのに、昼間の照明に膨大な電力が使われています。必要な所に太陽光が届いていないからです。なぜ届かないかと言うと、光が“直進”するからです。誰が考えても勿体ない話ですから、いろんな人が太陽光を“曲進”させることを試みました。
“曲進”その1は「ひまわり」。科学万博つくば85(1985年)に出品されて話題を集めたのでご記憶の方も多いでしょう。森敬さん(慶応大学教授)の発明をラフォーレエンジニアリングが実用化したものです。太陽光を複数(標準機の場合は12個)の凸レンズで集光し、光ファイバーで室内に導きます(図59)。凸レンズが常に太陽に正対するように、集光部は太陽を自動追尾します。凸レンズは太陽光を面積比で約1万倍に集光し、その焦点に大口径光ファイバーの入力端がセットされます。レンズの色収差を利用して、赤外線と紫外線をカットしますから、室内の温度上昇や日焼けを防いで、“自然の明るさ”だけを採り入れます(図60)。50mくらい離れた、曲がりくねった所まで光を導けるのは、光ファイバーの威力です。太陽自動追尾に電動モーターを使いますが、追尾のための電力は微々たるもの(数十Wh)だそうですから、非電化照明と言っても差し支えないでしょう。価格は約90万円(標準機の場合、工事費別)と高額ですが、高級な装置ですからいたしかた無いでしょう。 |
「ひまわり」の集光部(ラフォーレエンジニアリング提供) |
「ひまわり」の集光原理(ラフォーレエンジニアリング提供) |
■光ダクト
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“曲進”その2は、「光ダクト」。屋上のような水平面や(図61)、壁面のような垂直面(図62)に設けられた広い採光部から採り込んだ光を、内側が鏡面になっている光ダクトで室内に導きます。日建設計とマテリアルハウス(旧社名「東京伸銅」)という会社が「光ダクト」を開発して実用化しました。光の反射率が高いアルミの薄板(反射率95%)がダクトに活かされています。1997年11月に沖縄県庁県民広場地下駐車場に国内で最初の装置4本が設置されました。2002年12月には、宇宙航空研究開発機構(旧宇宙開発事業団)の筑波宇宙センター総合開発推進棟に、全長20mの横型光ダクト72本が設置されて大きな話題になりました。太陽を追尾しませんから、システムはシンプルですが、既存の建物への設置は難しそうです。 |
光ダクト(水平採光。マテリアルハウス提供) |
光ダクト(垂直採光。マテリアルハウス提供) |
■反射板
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“曲進”その3は、「反射板」。20年ほど前の私の作品です。報道されて話題になりましたので、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。発明というほどのことも無い簡単な装置です(特許は成立しているのですが)。当時、私が住んでいた家は、東側と南側に隣家が接していましたので、1階の居間には陽が入りません。ところが、敷地の東北の隅に、一日中陽が差す場所があります。そこで、この場所に鏡を置いて、陽光を反射させることにしました。複数(16枚)の平面鏡が平行リンクで繋がれています。これらの鏡は、2軸回転できるようになっていて、電動モーターで駆動されます(完全な非電化ではなかった)。
鏡は太陽に正対するのではなく、反射光が居間に向かうように自動制御します。複数の鏡は前面が透明ガラスの1個の平たい箱に収められています。実際に作った装置は縦横2mの大きさのものでしたが、一日中居間に陽光が入り、妻に大喜びされました。陽光が常に入ってくるということは、鏡面には常に空が映っているということです。以前は隣の家の(汚い)壁が目前に迫っていたのですが、この装置を導入してからは、目の前は無限の奥行きの空になって、視覚的な気持ちよさの方が、大きな効果と感じられました。 |
反射板 |
■光ダクト+反射板
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“曲進”その4は「光ダクト+反射板」。戸建住宅を対象にしたシンプルでアバウトな装置です。図64がその構造です。庇の上面はガラス板。複数の反射板(ガラスまたは光沢ステンレス)が太陽光をほぼ水平方向に反射して北向きの部屋に導きます。複数の反射板は、「曲進その3」では反射板は太陽を追尾して連続的に2軸回転させましたが、ここでは3段階に1軸回転(水平軸回転のみ)させます。太陽を追尾して反射板を回転させるメカニズムは、図中に示したように、
形状記憶合金を利用することによって、電気を使わずに実現しています。すなわち、3段階に高さ方向を変えて固定された円筒の中に形状記憶合金で作られたバネが納められています。バネの一端は固定され、他端は反射板と連結されています。太陽の高さの変化に伴い、3つの円筒の何れかに太陽光が入射します。形状記憶合バネは太陽光によって暖められて縮み、反射板を(太陽光が水平に反射されるように)回転させます。太陽の高さが更に変化して、他の円筒に入射するようになると、元の円筒内の形状記憶合金バネの温度は下がって伸び、反射板を回転する力を失います。この装置では、太陽反射光は完全には水平を維持できませんが、ダクト内面で反射されて室内に導かれます。概ね水平であるためにダクト内面での反射の回数は少なく、高い反射率は要求されません。このように、シンプルでアバウトな構造になっているために、安価で実現できます。 |
光ダクト+反射板
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■夜光看板
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以上は昼間の太陽光を曲げて届かせる話でした。次は、昼間の太陽光を夜間に
使う話です。太陽電池で光を電気に変換してバッテリーに蓄え、夜間に電灯を点ければ簡単にできるのですが、ここでは、太陽電池もバッテリーも使わずにどこまでできるか試してみます。使うのは「蓄光材料」。昔からある夜光塗料です。最高レベルの蓄光材料でも、明るさは5カンデラ/u程度――このままでは暗すぎて話になりません。せめて50カンデラ/u程度にできれば、門灯か夜光看板くらいにはなりそうです。そこで、蓄光材料の明るさを10〜20倍に増幅することを考えてみました。仕掛けは簡単です。集光シートを下の図のように、プリーツ状に並べます。集光シートの下側表面には蓄光材料が塗布されています。昼間、陽光は上部から入射し、集光シートを透過して蓄光材料に到達し、光として蓄えられます。夜間、蓄光材料から放射された光は、集光シートの端部前面から放出されて、半透明看板を照らします。
下の写真は実際に作った看板の夜間の写真です。簡単な装置ですが、60カンデラ/u程度を実現することができました。感動的なほど明るく光ります。昼間の太陽光の強さや、蓄光材料の特性にもよりますが、6時間くらいは明るさを維持できます。この装置は日曜大工でも可能ですから、お試しになってみてはいかがですか。市販の集光シートに、市販の蓄光材料を塗布して並べるだけです。但し、集光シートに含まれる蛍光材料の励起波長と蓄光材料の発光波長を一致させないと効果が出ません。蓄光材料が一般の緑色系の場合は、集光シートはオレンジ系を選んでください。 |
夜光看板の構造
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夜光看板の写真(非電化工房製) |
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